吉澤幸男 from GAGAKIRIZE インタビュー

『HELLO AGAIN』制作に関わった方々にインタビューしていく今回の企画。第一弾は、尾苗愛作曲の作品の編曲やギターを手がけた 吉澤幸男さん(from GAGAKIRIZE)にお話をお聞きしました。

出会いからアレンジ依頼まで

尾苗

お疲れ様です!乾杯ー!今日は、アルバム完成の打ち上げも兼ねて、ということで。今回吉澤さんの力、本当に大きかったです…。今回、私の曲のアレンジを担当していただいたり、マネージメントの部分やプロデューサー的な立ち位置まで、多岐に渡って関わっていただきました。多分、気になってる方も多いと思うんですが、なぜ担当することになったかと。

吉澤

POLTAとの出会いは当時のマネージャーMさん主催のお花見ですよね。事務所が一緒だったんですが、そのお花見ではじめてお話しましたよね。それから、事務所から話がきたコンペを一緒にやったりして。

尾苗

一緒にカラオケ行ったこともありますよね(笑)。吉澤さんの作る楽曲を聴いていたので、信頼できるなと思ったし、POLTAと混ざると面白い方向にいくんじゃないかなと思って。元々は事務所からいただいた提案だったんですが、すぐに「お願いします!」とお返事しました。結果、吉澤さんにお願いしてほんとに良かったです。

吉澤

お花見で出会ったこともあってPOLTAの2人には春に会う印象があるので、”春が過ぎても”の花が咲き舞い散るようなイメージは自然と浮かんだので、それがフィットしたのかもしれないですね。

アレンジにおけるこだわり

尾苗

今回、私が作詞作曲の「キルト」と「春が過ぎても」の編曲をしていただきましたが、 特にこだわったこと、意識したことはどんなところでしたか?

吉澤

歌詞とメロディ、歌声に合う音を選びました。あとコード進行、リズム、楽器の選択と配置ですね。

尾苗

今回私の曲ではピアノが入ったんですけど、歌モノっぽくなることには抵抗があったんです。その辺り言葉にしなくても伝わってバンドらしくなってて嬉しかったです。

キルトのギターアルペジオもすごくいいなぁと。

吉澤

あれはvelvet under groundの「Candy Says」をイメージしたんですよね。

じゃあ、結構いろんなところからの引用があったりするんですか?

吉澤

いや、今回はないかも。ギターのアルペジオのそこもイメージだけ。それよりもPOLTAのお二人の歌詞や歌から触発される部分があったなと。

コード進行へのこだわり

尾苗

コード進行も…今まで自分は絶対変えたくない、ってことが多かったんですけど…

吉澤

あ、その話は(笑)。

一同

本当にお疲れ様でした(笑)!

(注:

今回「春が過ぎても」について吉澤さんの提案で、若干コード進行に変更が出た箇所がありました。

)

尾苗さんがコードのことで折れるって珍しいよね!?

尾苗

自分のより良かったら折れるよ(笑)!私は、重なったときのことをあまり考えずに、コードばかりにとらわれてて。

吉澤

いえ、尾苗さんの視点もすごく新鮮だったんで。

尾苗

私は弾き語りから始めて、ギターと歌だけで始めたので、ギター一本と歌だけって考え方になっちゃうんですよね。

吉澤

僕は逆にずっとインストのバンドばっかやってたんで。

尾苗

私、音楽理論は何回本読んでもよくわからなくて…だからいつも最終的に感覚で決めてるんですよね。直感で良いって思ったものを、なかなか言葉で説明できなくて。

吉澤

でも、感覚が見えてくると、尾苗さんの言わんとしてたことがわかって、僕も思いつかないようなところもあって。最終的に理論的にも正しかったりするんですよね。

尾苗

でもなかなか伝えられず、お互い歯がゆかったと思います。ミックスデータが上がってきたとき、いい曲だって思えて…ちゃんとグッときて安心しました。

吉澤

僕、普段からわりとバンドとかでも一人で作ることが多くて。今回人とやることで、 やっぱり「やばい!伝わらない!」ってなることもあったけど(笑)、それがすごい面白かったですね。

尾苗

そう、「この何小節目の…」って、小節の場所を伝えるのすら難しくて(笑)。でもお互い最後まで諦めずに出来て、よかったです。伝えるのって難しい。言葉がうまく使えないから音楽やってるみたいなところもありますが(笑)。

吉澤

それは、たしかに(笑)。

今回の制作と自らのルーツ

尾苗

それにしても短い期間で本当にここまでありがとうございました。

吉澤

ほんと今回リリース決定から入稿まで一ヶ月という短い制作期間で、たくさんの幸運やトラブルが起きましたし、意思の疎通や齟齬、関わった人々の親切、映画"アメリカの夜"的な集団制作の面白さを体験させていただいて。思い返すと全ていい思い出です。

嬉しいですね…。アメリカの夜ってどんな映画なんですか?

吉澤

みんなで映画をとる話で。すごい面白くて。みんなドタバタしてて。音楽が本当素晴らしい映画なんですよね。結構映画とる映画が好きで。元々映画とる人になりたかったんです。

POLTA

へぇー!

吉澤

それに関わることをやりたくて。大学まではその勉強をしてたんですけど、いつの間にかギター弾いてたみたいな(笑)。

しかもすごい振り切ったとこにいったんですね(笑)。

吉澤

そこで出来なかった共同制作の楽しさみたいなのが今回体験できて良かったです。まさしくみんなドタバタして。みんな話が通じてるんだか通じてないんだかわかんないみたいな(笑)。

POLTA

(笑)

吉澤

毎年必ず一回は観返す映画で、すごい好きなんです。今回の制作、楽しかったですね。思い返すとどれも。

尾苗

うん、わたしもです。

吉澤

そしてほんと周りの人みんないい人ばっかりですね。カズヤさんも、二日目もきてくれましたしね。サポートだし、ドラムだって録り終えてるのに。

吉澤さんもレコーディング中寝ないでずっと起きてくれてたじゃないですか。マスタリングに僕たちが行けなかった代わりに立ち会って頂いたり。

(注:

今回、強行スケジュールだったため、メンバーがマスタリング(音の仕上げの大切な作業)に立ち会うことができなかったため、吉澤さんが代わりに立ち会ってくれました。

)
吉澤

ミックスエンジニアの香椎さんもすごくいい人だし…。データをメール送信で済むところを、気持ちの問題で届けます!とか(笑)。お二人が行けないなら、もう立合わなきゃと思いますよね。

尾苗

ミックスの香椎さんもほんとよくしてもらったよね…。あと、レコーディングの田中さんも!

吉澤

田中さんもほんとに素晴らしい人でよかったですね。

リアンプボックス取りに行って戻ってこないときに焦りましたけどね(笑)。

(注:

レコーディングで使うリアンプボックスの調子が悪く、わざわざ遠くまで借りに行っていただいたのでした…その後なかなか戻ってこられず、焦る場面も。

)

尾苗

田中さんが出られてた間に、ロビタを吉澤さんに録ってもらいましたよね(笑)。

(注:

田中さんの外出中、レコーディングを止めるわけにもいかないので、急遽、吉澤さんが代理でエンジニアをやってくれました。

)
吉澤

しましたね(笑)。

今作について

尾苗

いろいろあったなぁ…。完成した「HELLO AGAIN」、聴いてみてどうでしたか?

吉澤

たくさんの喜び怒り、生活のふとした瞬間から俯瞰的視点、2人の言葉、旋律、リズムが極私的なものからマクロまで詰まった、とてもいいアルバムだと思いました。

尾苗

そう言っていただけて嬉しいです!吉澤さん本当にありがとうございました。 お花見だけじゃなく、また呑みましょうね。

2016.8月 都内某所

INTERVIEWEE吉澤幸男 from GAGAKIRIZE

自身のバンド「Gagakirise」でギター、作曲、アレンジを担当。